時には昔の話を。

昔から、犬がとても大好きだった私。

しかし、20数年前、高校生で進路を考えた時には「犬の訓練士」という職業は全く選択肢にありませんでした。

当時の私には、犬の訓練士=警察犬や盲導犬等の優秀な犬を育てる仕事、というイメージが強くあり、そこには微塵も魅力を感じていませんでした。

その後大学に進学した年に、咬むようになった愛犬を守る術も無く、殺処分という最期を迎えさせてしまいました。

愛情だけで救えるものではないのだと、この時に悟りました。

やがて、教員としての仕事や生活が落ち着くと、再び犬との暮らしがしたいと思うようになり、生後5ヶ月の柴犬を迎えました。

運良く懐っこくて穏やかな子にご縁があったにもかかわらず、咬むようになりまた殺処分となってしまったら…という不安がいつも心の片隅にありました。

そんな時、偶然参加したしつけ教室で、「命を救うために」どんなに扱いが困難な犬でも諦めず仕事をされている訓練士さんに出会いました。

絶望的になるほど問題行動が悪化してしまった犬に、家庭犬としての幸せな日々を再び取り戻すことで、犬の命だけでなく飼い主さんの心も救われていることにハッと気付いたとき。

私は初めて「犬の訓練士」という職業に、並々ならぬ魅力を感じました。

訓練士、トレーナーにも様々な得意分野をお持ちの方がいらっしゃいます。

犬のもつ能力を最大限に引き出し、競技会等で華々しく活躍されている方々は、本当にすごいしカッコイイなぁと思います。

それに比べ、扱いづらい犬と日々向き合うのは、それはそれは地味な仕事です。咬まれるリスクも大きいです。

それでも、犬の命を守ることで飼い主さんが笑顔になってくださるのならば、私にとってこれ以上のやりがいはありません。

愛犬を保健所に…という辛い経験は、愛犬家の皆様には絶対にしてほしくありません。

…とは言え。

難しい子であろうとなかなか懐かない子であろうと、大好きな犬に囲まれているだけで一番幸せをいただいているのは、間違いなく私自身だと思っております(^^)

本年も犬寺子屋をよろしくお願い致します!