厳しい目でプロを見極めよう

奈良県の動物愛護フェスティバルにて、ある飼い主さんからこのようなご質問をいただきました。

「訓練士やトレーナーにお願いしたところで、お家に帰ったら問題行動が元に戻り、結局飼い主の言うことは聞かないってよく耳にしますが、それはなぜなのですか?」

同じように思われている飼い主さん、実は多いのではないでしょうか?

私も一飼い主のときには同じことを思っていましたし、だからこそしつけ教室や勉強会に行く度にかなり厳しい目でプロの方を品定めしていました。高いお金を払って大切な愛犬をお任せするのですから、当然です!

なぜ、ご質問のような「プロに頼んでもうまくいかない」ということが起こってしまうのか。

あくまでも、私が一飼い主目線から感じたこと、プロを志す過程で気付いたこと、学んだことですが、考えられる原因を少しだけ指摘させていただきたいと思います。

雨が降るとテンションが下がる柴くん。笑

まず、トレーニングや訓練を行う形態ですが、現在では大きく二つの方法が主流だと思われます。

「お預かりしてトレーニングを行う」方法と「飼い主さんのご自宅にお伺いしてレッスンを行う」という方法です。

実は、多くの場合、トレーナーや訓練士側の問題で、どちらの方法にもうまくいかない要因があるのです。

①お預かりしてのトレーニングを行う場合

「短期間でしつけます!」の言葉に惹かれた経験はありませんか?

犬は賢いですから、短期間で素を見せない子もいます。ワンちゃんが素を見せないまま大丈夫だと判断されお家に返されると、トレーナーと飼い主さんとの間で認識の違いが起こってしまい、解決に至らないことがあります。

また、トレーナーが出来たのだから大丈夫だろう!と判断され、たいしたサポートもないまま返された経験はありませんか?

トレーナーがその子の飼い主ならば自分が出来ればそれで良いのですが、お客様である飼い主さんとワンちゃんのためのトレーニングや訓練であるという意識が完全に欠けています。

②飼い主さんのご自宅にお伺いしてレッスンを行う場合

「飼い主がやらなければ意味がない!」「飼い主が変わらなければ犬も変わらない!」と諭され、お手本も見せてくれないトレーナーのアドバイスを聞きながら、しつけを頑張られた経験はありませんか?

例えば「オスワリ」を教えるとします。

犬も「オスワリ」を認識していない状態、飼い主さんも教え方がわからない状態では、いくら横からトレーナーがアドバイスをしたところで、失敗ややり直しの経験が多くなります。

犬に何かを教えるときは、失敗は最小限に成功体験をたくさん積ませることが基本ですので、このやり方では何年トレーニングをしてもうまくいかないことがほとんどです。

トレーナーが帰ったあとに飼い主さんが頑張るといういわゆる「宿題」も、失敗する経験を無駄に積ませるくらいなら何もしない方がマシです。

あたしも実はボールが好きなの♡

多くの飼い主さんが感じられている「お金をかけても犬は変わらない」というマイナスイメージを払拭するべく、犬寺子屋では次のようなステップでトレーニングを行います。

「犬をある程度良い状態にするのは私の仕事、そこから卒業〜卒業後は飼い主さんと二人三脚で!!」

時々誤解をされている方がいますが、トレーナーや訓練士は、犬を一瞬で劇的に変化させる魔法使いではありません。笑

飼い主さんの頑張りが必要になる日も、いずれやって来ます。飼い主さんの意識をガラリと変えていただくこともあるかもしれません。

ワンちゃんを変えるだけでなく、飼い主さんへのサポートも、トレーナーの大事な仕事だと私は思っています。

長文になってしまいましたが… 今後、トレーナーや訓練士を選ぶ際に、少しでもお役に立てれば幸いです。U^ェ^U