〇〇犬ブーム…?

〇〇犬ブームという言葉が嫌いです。

トレーナーとしてではなく、一人の犬好きとして、です。

「迎えるなら保護犬を!」

近年、よく言われるようになりました。

愛護センターや保護ボランティアさんの活動により、一頭でも多くの命が救われることは、良い事だと思います。

私も少しですがボランティアの経験もあります。

危惧しているのは「保護犬を迎えることがステイタスになっている」という世間の風潮を、時々感じてしまうこと。

保護犬ブーム…?という言葉が、頭をよぎります。

「保護犬」を迎えることには、保護犬ならではの様々なリスクがあることも知っておいてほしいと、自分自身の経験からも強く思います。

犬を譲渡する側、される側ともに、その犬に対する正しい知識がなければ、殺処分が先送りになるだけという、不幸なことになってしまいます。

私は21年前、当時2歳の愛犬に殺処分という最期を迎えさせてしまいました。

家庭犬が産んだ雑種の子でしたが、母犬、兄妹犬ともに咬む犬だった事がわかっていたにもかかわらず、可愛いという気持ちに負けて不用意に迎えてしまいました。

譲ってくれた方から「咬む素質があるかも」という説明もなく、自分たち家族も無知だった。

子犬から飼えば、問題なく懐くと思っていた。

譲る側、譲られる側、ともに認識が甘かったのです。

香川県に多い野犬の子は、親犬の性質を把握しにくく、何代にもわたって交配が進んできた中で、どんな遺伝子をもっているかわかりません。

子犬の頃は大丈夫でも、成長するにつれて、もしくは突然、問題が出てくる可能性もあります。脱走する確率も高いため、より一層の注意や対策が必要です。

それらのリスクについて、譲渡する側はきちんと説明できなければなりませんし、迎える側にはそれを承知の上で一生向き合う覚悟をもって迎えていただきたいと思います。

保護犬も、ペットショップの子も、ブリーダーから迎えた子も、知り合いから譲ってもらった子も、みんな同じ大切な命です。

一つ一つの命に優劣はありません。

〇〇犬ブームが引き起こす、結果的に人も犬も不幸になる嫌な風潮に、私は大反対です。