ある花火大会に家族で行ったときのこと。
うちは6人家族。ベビーカーに赤ちゃんを乗せ、お祭りの雰囲気に舞い上がりはしゃぐ幼児に注意しながら、駐車場から歩いて会場に向かっていました。
途中、明らかにお祭りや花火に来ているのではなく、日課としてワンちゃんを普通に散歩させている様子の方が、前方から歩いてきました。
暗がりではっきりとは見えませんでしたが、ワンちゃんは秋田犬風の大きな子、飼い主さんはおじいさんでした。
万が一、ワンちゃんが我が家の騒がしさにびっくりして暴れたら、おじいさんが大変だしうちも被害に遭うかも…
そう思い、我が子に注意しようとしたとき、おじいさんはワンちゃんに言いました。
「スワレ、マテ」
ワンちゃんはごく自然に指示通り座って待ち、我が家の騒がしい集団が通り過ぎる間、飼い主さんの目をしっかりと見つめていました。
その後、気になり後ろを振り返ると、ワンちゃんと飼い主さんは普通に散歩を続けられていました。
そのときの飼い主さんの本音はわかりませんが、私の目には「いつもと違うお祭りの雰囲気」や「知らない人、騒がしい子供」に対する「万が一」のリスクに備えて対応をしてくださったように映りました。
きっと、普段からそのようにしつけをされているのでしょう。
危機管理意識とともに、他者へ対する配慮が感じられ、頭の下がる思いでした。
このように、生活の中で生かせることが結果としてワンちゃんに身についていなければ、いくらプロにトレーニングをしてもらっていても、熱心にしつけ教室に通っても、何の意味もないと私は思います。お金の無駄。
咬むなどの事故は、日常生活でも起こり得ますが、「いつもと違う雰囲気」のときには特に起こりやすく、注意が必要です。
愛犬が万が一事故を起こしてしまったら、責任を問われるのはワンちゃんの所有者である飼い主です。
たとえ相手方に非があったとしても、飼い主側の責任は非常に厳しく問われます。
相手方から犬の処分してほしいと言われたり、ご近所さんとの関係がうまくいかなくなったり…お金で解決できない辛さを背負わなければならない場合もあります。
「うちの子は絶対に咬まない!」と言われる飼い主さんもいますが、犬に「絶対」はありません。経験上、これは断言できます!
常に危機管理意識をもち、いざというときに役に立つトレーニングをしておくこと。
ワンちゃんを守るためだけでなく、飼い主さんご自身を守るためにも、大切なことだと考えます。